第1章 やさしいきもち
ゆのちゃん、中村さんきたよ。
うん、わかった
メイクルームで、髪を巻きながら答えた。
中村さんは
優しいお客さん。奥さんも子供もいるけど、時々、「癒され」にくるんだって
ゆのちゃん、ひさしぶりだね
中村さんはまた薄くなった頭を撫でた。
薄くなっても髪を切ればいいのに少し長いからよけいカッコ悪く見える気がした。
「ゆの、会えて嬉しい〜!」
デレデレした中村さんの腕を引っ張って、シャワーにいく。
なるべく優しく優しく中村さんのあそこを舐めて、触ってあげた。
中村さんはわたしの頭をなでなでしながら
いつもより比較的早くイってくれた
中村さんは、少し眠くなったのか、へたっとスヤスヤ眠ってしまった。
時間ギリギリまでお膝で寝かせてあげた。
少しよだれが垂れてるけど、わたしは気にならなかった。
中村さんは、アラームが鳴ると起き上がってわたしと手を繋いで、
ありがとうと微笑んでくれた。
わたしはこのお仕事が嫌いじゃなかった。
こんなふうに感謝されることなんて一度もなかったから。
承認されてるようで、わたしってここに生きてるんだなってわかって嬉しいと思った。
でも、中村さんは時々言う。
家でも職場でも居場所がない。ゆのちゃんもお仕事だから俺の相手してくれてるだけだよねって。
そのあと切なくヘラヘラ笑うんだ。
わたしはなんて言ったらいいかわからなくて、
中村さんの手をぎゅっともう一度力を入れてあげることしかできなかった。