第13章 契約違反でイソギンチャク生やされた?
翌日、約束通りにホットサンドをレオナ先輩に持っていき、その帰りに食堂に行く。
昨日のサバナモブとその他大勢のイソギンチャク共がうじゃうじゃと集まっているね。
心做しか疲れ切った顔してる、余程勤務条件が厳しいとみた。
「あ、姉貴! 聞いてくださ……むぐっ!」
「まずは初日、お疲れ様。それ食ってちょっと元気出してから話聞いてやるよ」
「姉貴ー! これめちゃくちゃ美味いっす!」
「まともに食事してないだろ? まずはしっかり食べて体力回復させな」
そう言って慰めていると、他のイソギンチャク共までが私に泣きついてきた。
流石に全員分のホットサンドはないんだけど、そんな顔してもあげないよ?
というか、何度も言うけど自業自得だからな?
「親分! こいつら一体何なんだゾ!」
「頭になんか生えてる……イソギンチャクか?」
そこにグリム達が合流した。本来ならあんた達もこういう目に遭ってたんだからね。
グリムにホットサンドを渡しながら、イソギンチャク共の説明をしてやる。
「俺だったらぜってー契約しねーわ」
「……よく言うよ」
「姉貴なんか言った?」
「いいや、けどあんた達だって一応は私の知恵を借りてんだからあんまり人の事は言えないんじゃないの? 自力ではやってないんだから」
「うっ……それはそうだけど」
「まあ、結局頑張ったのはあんた達だし契約して楽をしようとしたこいつらと比べれば真面目な方だよね。しかも自分から率先して聞きに来てたし……よく頑張ったね」
三人の頭を順番に撫でると、エーデュースは顔を真っ赤にし、グリムは嬉しそうに抱きついてきた。
「姉貴……俺いつまでこんな状態になるんすかね?」
「言っただろ、誠意を見せて自分の身の安全を確保しろって。向こうの気が済むまではずっとこのままだろうな」
「そんなっ……!」
「……今日の放課後、様子を見に行ってやるから元気出せ。ほら、もう一つ食べな。それとこれは休憩時間の時にでも」
黄金糖をいくつか握らせてやると、泣きながら何度も感謝の言葉を述べ、放課後私が行くまでは頑張ると言った。
こうして見ると可愛いんだけどな。
何とかしてやりたいとも思うが、こればかりは自業自得だし。