第13章 契約違反でイソギンチャク生やされた?
翌日、教室に着くなりサバナモブの一人に抱きつかれた。
ちょっと周りが変な目で見てるじゃん離しなよ。
「姉貴ー! 助けてくだせえ!」
「ちょっといきなり何? 苦しいんだけど」
「助けてくだせえ姉貴!」
さっきから助けてしか言わねえなこいつ。
まあ大方想像はついてるよ、頭に生えているイソギンチャクが物語ってるしな。
「はあ……契約したんだね」
「そうなんです! 学年で50位以内に入れなかったから、契約違反になっちまって……!」
「それでイソギンチャク生やされたってか? 自業自得だろ口より手を動かせそれしか取り柄ねえだろ」
「そこをなんとか助けてくだせえ姉貴ー!」
「人様の努力を買うような怠け者に用はない、自分の行いの愚かさを身をもって知りな」
そうは言ったが、可哀想になるくらいに泣いて抱きついてくるサバナモブを見て、私は一つため息をついた。
こいつも、よく私に懐いてくれてたし、守ろうと思えば守れたからな……仕方ない。
「一つあんたにアドバイスをしてやる。契約違反をしたのは他でもないあんただし、あんたが悪い事には変わりない。それは理解できるな?」
「うぅっ……はい」
「ならあんたがすべき事は、最大限の誠意を相手に見せる事だ。誰よりも真面目にこなし、誠意ある態度を見せれば、ある程度の優遇は認められる。そうして自分の身の安全を確保しろ」
「姉貴……俺、本当に馬鹿なことしたって思いました。だから、姉貴の言葉通りやってみます!
けど不安なんすよ姉貴……イデデデデ! 引っ張られてるっ……姉貴! また話聞いてください!」
あいつ、めちゃくちゃ叫んでたな……大丈夫か?
知らない仲では無いけど、悪いのは契約をちゃんと確認しなかったあいつらだし。
「……はあ、こういう時の自分の性格が嫌になるよ」
ダメだね、一度考えたり関わったりしてしまうと最後まで見届けなくちゃって思ってしまう。
そういうところで責任感を感じなくてもいいのに。
観察がてら、明日ちょっとだけ様子を見に行ってやるか……ちょっとだけだけどな。
ついでに何か簡単な差し入れでも用意しておいてやろうかな。