第6章 in フラれちまった悲しみに(最早“in”は不要)
智「……解った……今から行く」
翔「………」
智くんは今から行くと言った後、一言二言話して、電話を切った
智「……翔くん……何で?」
智くんは電話を切ると、背中を向けたままそう訊いた
俺は自分に向けられた裸の背中から視線を逸らして応えた
翔「……だって智くん言ってたじゃん………松岡さんが、迎えに来るの待ってるんだって……」
智くんは俺の応えに何も言わず沈黙した
ホテルの部屋が、息が詰まる様な静寂に包まれる
長い沈黙の後
智くんが重そうに口を開いた
智「………翔くん………さっき、………何を言おうとしてたの?」
翔「………」
何って……そんなの……
(………もう、言えないよ)
黙り込み俯く俺の腕を、智くんが掴んだ
ビックリして顔を上げると、思いの外近い位置に智くんの顔があって焦る
翔「!!!///」
智「…言ってよ…何て、言おうとしてたか…」