第6章 in フラれちまった悲しみに(最早“in”は不要)
智くんは俺に背を向けたまま話しだした
智「……うん……ううん、家じゃない……え?今から?」
(……今から…!?)
智くんが振り返って俺を見る
(……え?まさか……)
智「……えっと…◯◯ホテルってトコ……うん………え?………すぐには、出れないけど……」
(出れないけど……けど?)
心臓がウルサいくらいに脈打つ
(…行っちゃうの智くん…松岡さんのトコに…)
智くんが、黙ったまま俺を見ている
何かを言いたげに、じっと…
翔「………」
(智くん…まだ、好きなんだよね、松岡さんのコト…)
きっとこうやって連絡が来るのを待っていたハズなんだ…
翔「……智くん、行って良いよ」
智「……!!」
俺がぼそりとそう呟くと、智くんは驚いたようにまた目を見開いた
俺は智くんに向かって、ゆっくりと頷いてみせた
智「………」
智くんは黙って困惑したように俺の顔を見ている
俺はもう一度頷きながら言った
翔「……会って来なよ……待ってたんでしょ?」
智「………」
智くんは暫く俺の顔をじっと見詰めてから目を伏せると、また背中を向けた