第5章 in ホテル(もちろんリバーサイド)
(…このまま……ただ、初体験を済ませるだけみたいに智くんを抱きたくない…)
智くんは、松潤に頼まれたからこうしてチェリーの筆卸に協力してくれてるだけなのかも知れないけど
…松岡さんを…
少しでも彼を忘れたくてこんな馬鹿げたコトに付き合ってくれてるのかも知れないけど…
(俺は、智くんが好きだ……出会ったばっかだけど……お互いよく知らないかも知れないけど……
……こんな、ただヤるだけの為に結ばれたくない)
翔「…………」
俺は智くんの体を抱き起こした
智「………どうしたの?………やっぱり、男相手じゃ、出来ない?///」
智くんの水分量の多い瞳が、不安げにユラユラと揺れる
俺はその瞳を真っ直ぐに見詰めて言った
翔「…違うんだ、智くん…
今日会ったばっかで説得力が無いかも知れないけど
…俺、君のことが好きになったんだ…
…だから…
こんな風に、君を抱くの………嫌なんだ」
智「………」
智くんの目が、驚きに大きく見開かれる
翔「…だから、その……俺と………俺と………
………
………俺と、付き…」
──pururu…pururu…
俺の告白を遮るように、携帯電話の着信音が部屋の中に鳴り響いた