第3章 みにくいあひるの子…森の家で♥️♥️
「何をしてるの?」
木こりが彼の背後から話しかけた。
琥牙は熱心な様子で木の根を抜いたあとの地面に苗を植えていた。
「木の苗だよ。 取るばかりじゃ無くなっちゃうから、こうやって命を繋いでいかないと」
「………そうだね」
切り株を素手で引っこ抜く彼だから出来ることだろう。
木こりは感じ入った様子で琥牙の隣に座った。
「あ、命といえばねえ」
不思議そうに彼女を見る琥牙に、木こりがこそっと耳打ちをした。
すると彼が赤くなり、驚いて彼女と、それから新しい命を授かった彼女のお腹を交互に見つめた。
「私、幸せだよ」
そう言って微笑む彼女の顔がぼやけていく。
琥牙は生まれて始めて泣いた。
頬から落ちたしずくが小さな木の葉に落ちては弾けてきらめく。
そんな綺麗な涙だった。
fin.