第2章 トラウマ
零音side
6時間前_______
僕は死を覚悟し、悠への謝罪を言葉にした。
「ごめん……」
その時、近くにいた女の人が化け物を持っていたバットで殴り、僕の手を引いて走った。
「怪我はない?!」
「え……はい……」
そのまま僕と彼女は近くのホテルに逃げ込んだ。
そこには逃げてきた人達が何人かいて、バリケードを作っているところだった。
間に合って良かった。
僕も手伝い、入口を塞ぐ。
その場にいた全員が力尽きて腰を下ろす。
先程助けてくれた女性にお礼をと思い周りを見渡す。
「いた。」
よく見ると彼女制服を着ている。
高校生なのか。
「ね、ねぇ君。さっきはありがとう。」
「あ、いえ。怪我してないならよかったです。」
そう言って肩を押さえている。
血だらけだ。
襲われたのだろうか。
「君、その怪我……」
「大したことないですよ。これくらい。それよりお母さんとお父さん探さないと。」
携帯を取り出し、電話をかけている。
だが、中々通じないようだ。
僕もと思い携帯を取り出そうとポケットを探る。
……ない……
さっき落としたんだ……
最悪。
悠が心配だけど、誰かに携帯借りるなんて出来ない。
「はぁ……」
これからどうしよう……
ここから出たらきっと危ないし……
1人の男の人が全員に声をかける。
ホテルの従業員さんだろうか。
「皆さん。ひとまずここに居てください。こんな状況である以上助け合って……」
その時、パーンと銃声が響いた。
音を聞いて全員が身を丸くする。
「はいはい注目ー。」
音の方を見ると3人の男の人が銃を掲げていた。
「ここは助け合っていこう。な?従業員さん?」
あ……あの人……
「リーダーが必要だろ?ここは俺がリーダーになる。武器も持ってるしな。部屋は1人1部屋。食事も一日一食。……俺の命令には逆らうな。これがルールだ。守れねぇなら今すぐ出ていくかここで死ね。」
「す、栖須原くん……」
「ん?……おー!零音じゃん!!久々だなぁ……またよろしくな。」
そんな……どうしてここに……
僕は10年前の記憶が脳裏に過った。
彼の笑みが僕の身体を硬直させる。