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特級錬金術師の旦那様

第10章 薬草採取と報せ


私たちは、町から近い森へと来ていた。条件が揃った深夜の月光を浴びた薬草は、薄っすらと光っているらしい。マーフィスは危ないから留守番だと言ったけれど、私はどうしても付いて行きたかった。

渋々とだけど同行を許してくれ、マーフィスと二人で行動している。魔物除けのお香を焚きながら、森の奥深くへと進んでいく。

私は半分後悔しながら、マーフィスのマントを掴みながら歩いている。たまに、何処からか獣の吠える声が聞こえ体が竦む。

一時間程経過した頃、薄っすらと光る薬草が生えている場所に到着した。光の色は二色あるそうだ。今回は淡い赤色の光だ。

「何か手伝う?」
「直ぐ終わるから大丈夫だ。」

マーフィスは小さなスコップで根っこから綺麗に引っこ抜いていく。自宅の畑に植え替えしていくのだろう。

「今回は、五本か。まぁまぁの収穫だったな。」
「あまり採れない時もあるの?」
「あぁ、過去に一本の時もあった。」
「だから、家で栽培してるんだね。」

貴重な薬草だ。採れなければ、エリクサーは作れない。そして、もう一つの色は青色らしい。

そんな時、頭上から紙吹雪の様なものが舞いだした。マーフィスの顔色が変わる。

「ミア、このまま町を出るぞ。やっぱり、今回は連れて来て正解だった。」
「何かあったの?」
「この紙吹雪は、アリオンからの報せだ。思ったより、早い行動力だったな。」

マーフィスと共に絨毯に乗り、森の上空へと上がる。

「何があったの?」
「後で話す。夜目が効く鳥型の魔物がいるから、静かにしててくれ。」

頷くと、マーフィスは更に森の奥地へと向かって絨毯を飛ばしていく。町からは遠く離れた海の崖先に到着した。

家を出しては、中に入って行く。

「マーフィス、何があったの?」
「王女だよ。」
「王女?王女がどうしたの?」
「俺の方が聞きたい。」

ギルドで聞いたらしい話しだったが、恩賞の話しが出た時に国王様は娘の事かと勘違いした。国王様は勘違いだと言うことで安堵した。

だがしかし、肝心の王女はマーフィスに一目惚れしたそうだ。あの場では何も言わなかったけれど、王女自らが声を掛ければマーフィスは自身を受け入れると思っていると言う。

甘やかされて世間知らずのまま大きくなったらしい。国王様が宥めようとしたが、王女は聞き入れなかった。そして、騎士団を使ってマーフィスの捜索。


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