第15章 もう一つの触手の時間
思い出した…
これは…
先生は始めて激怒した時の空気…!
「黒い触手!?」
「やべぇキレてんぞあいつ!!」
風が吹き荒れ、割れた窓ガラスから吹き込んでくる。みんなとっさに受けを取る
あの距離からジャンプてひとっとび窓辺に戻って来た彼。未だ狂気的にぶつぶつと呟いていた
「俺は強い、この触手で、誰よりも強くなった、誰よりも」
刹那、堀部さんが獣のように先生に襲い掛かる
『先生!』
ドッ
その手は防がれた。
堀部さんは白目を剥き、気絶してしまった。
「すいませんね殺せんせー。どうもこの子は…まだ登校できる精神状態じゃなかったようだ。
転校初日で何ですが…しばらく休学させてもらいます」
どうやらシロが止めたらしい。見たところ鎮痛剤みたいなものだろう
シロはそのまま彼を抱え、帰ろうとする
「待ちなさい!担任としてその生徒は放っておけません。一度ここに入ったからには卒業するまで面倒を見ます。
それにシロさん。あなたにも聞きたい事が山ほどある」
「いやだね、帰るよ。力ずくで止めてみるかい?」
既に感情の限界が近かった先生はそのまま挑発に乗る。が、
彼をガッと掴んだ瞬間、触手は溶けてしまった
「対先生繊維。君は私に触手一本触れられない。
心配せずともまたすぐに復学させるよ、殺せんせー。3月まで時間は無いからね。
責任もって私が…家庭教師を務めた上でね」
そのまま彼は去っていった
『はああ…』
一気に力が抜けペタンとその場に座り込む
「な!早稲田さん!大丈夫ですか!?どさくさに紛れて何か危害を…」
『いいや。…なんかほっとしてしまって…こっちまで張り詰められた戦いでしたから』
慌てて駆け寄る先生と弁解する私
「ああ、恥ずかしい、恥ずかしい」
教卓の上でうずくまって顔を隠す超生物
教室をひとまず戻せるだけ戻したら先生がこれだ。
「どうしたの殺せんせー?」
「その場の空気に流されてシリアスなキャラになってしまった…
先生どっちかっていうとギャグキャラなのに…」
「「「「(自覚あったんだ)」」」」