第40章 復讐の時間
『――何がいけなかったんだろう…何が間違ってたんだろう…もう私だから駄目なのかもしれない。真面目だから、つまらない奴だから、成績が良くて目障りな奴だから…』
「…」
『ほんと、馬鹿みたい。親の言う通りにいい子に育って、親の望む通りの進路に進んだのに……得た結果はこれかよ…
世の中、みんな、みーんな、馬鹿ばっか…猫被る私に気づかない先生も、友達も、人形みたいに指示で動く私も……』
「……貴方、名前は?」
『……早稲田遊夢』
「遊夢さん、貴方私の妹に似てる」
『?』
「あの子も猫被るのが得意でね、本当に駄目な時こそ『大丈夫』って言うの。
貴方も役者の才能があるのかもね」
『…』
「今のあなたの年は、色んな人に会うのが一番だわ。ほら、本校舎の人たちって…何かテンプレートじゃない?
嫌になったら、たまにはここに遊びにいらっしゃい。みんな面白い子たちばかりよ」
―――
「キツ目の表情と降ろした髪で思い出した」
三村さんが写真を見せる
磨瀬榛名。
6年程前に名が知れ渡った天才子役だ。私もその人をテレビで見た気がする。
本当に彼女、役者だったんだ。
けど、あの彼女は…
茅野カエデでも
磨瀬榛名でも
雪村あかりでもなかった。
君は一体誰なの?どうして私に協力を呷ったの?どうして今、先生を殺そうと思ったの?
あの背後をうねる触手を思い出す度に体がビリビリと疼く…
元々兵器として開発された物。また一人の友達が大人たちの牙にやられたのだ。
もう嫌だ…
「殺せんせー、茅野、殺せんせーを人殺しって言ってた」
「過去に何があったんですか」
「こんだけ長く信頼関係築いてきたから、もう先生のこと疑ったりしないよ」
「でも、話してもらわなきゃ…殺せんせーの過去のこと」
「分かりました。先生の過去を話します。ですが茅野さんもE組の生徒。話はみんなが集まってからです」
丁度彼女からの連絡も来たようだ
翌日、指定の場所にみんなが集まる。
そこにはちゃんと彼女もいた。奇襲をするつもりはないようだ
「来たね。じゃあ、終わらせよう」
「…」
「殺せんせー、殺せんせーの名づけの親は私だよ?
ママがメッ…してあげる」