第25章 静かなる戦いの時間
「君を退学にするつもりは今の所ない。君のような知名人がウチの学校にいるとなれば、宣伝のしがいがあるからね。今後の入学者ももぎ取れるだろう。
だが、問題は君がE組にいるということ。
これでは面目が立たない。
だから君にチャンスを上げよう。
今回のテストで55位以内に入れたら、君のE組脱出を認めよう。それ以外なら退学だ」
『なっ……何そのデメリットしかない賭け…』
「これでも譲歩はしている方だよ。他の人よりも順位をくりさげているのだから。今後も活動を続けたいだろう?」
驚いている私を放っておいて理事長は話を続ける。その鷹のような目で私を捕らえる。私はその雰囲気に汗をかきながらも乾いた声で笑った
『ハッ………落ちた時、私に「失望した」なんて言った本人が私を違法に上げる…ですか…笑えますね』
「…………
もし、君がその条件をクリアできたなら………認めよう。
君はあの時、落ちてもおかしくない状況だった」
『……!!』
こいつは…私の状況を知った上で、
糸をかけてくる……
駄目だ…騙されちゃ…
そんな言葉の意図に…救いなんてないんだから……!!
私が悔しそうな顔をしたのを見て満足したのか、理事長は「失礼」と出て行った
「早稲田さん」
肩に柔らかい物が乗った気がして、振り向いた。先生はずっと隣で見ていたようだ
『先生…私…どうしたら…』
俯く私に先生はさらりと言う
「簡単です。今回のテストで君は総合順位50位以内を取りなさい」
『え”?』
「今から交渉に持ちかけるのは無理でしょう。かと言って相手の言いなりに条件を呑むのも癪。
ならばその裏をかけばいい。ここの生徒ならここのルールで戦う。
話はその後です。まずは同じ土俵に立たなくては」
『………はい!』