第18章 怒りの銃口と刃の時間
僕に…このナイフを振る…
自信なんて微塵もなかった。だけど…烏丸先生の揺るぎない瞳。僕等を信頼している目。
僕はこの人の目が好きだ
それに、前原君と神崎さんの事…許せない…
「やります」
僕は、その期待に応えなければ…!!
「おやおや…
おまえの目も曇ったなァ烏間。よりによってそんなチビを選ぶとは」
烏丸先生からナイフを受け取り、軽くウォーミングアップをする
『な、渚さん…』
今も若干青くなっている遊夢ちゃん。きっとこの時間でも相当耐えているのだろう
「…大丈夫だよ。
カルマ君、遊夢ちゃんのことお願い」
「分かってる。一発かまして来いよ」
「さあ来い!!」
烏丸先生に言われた通りに…
大丈夫…倒す必要はない
―――”殺せば”勝ち、なんだから
いつも通り、リラックスした状態で近づく。ただの通学路を歩くように
鷹岡先生の目が一瞬緩んだ
喉元にナイフを振る
勿論それはよけられる想定はしていた。けど、
重心がずれた。それを見逃さず、服を引っ張り体を動かす。そこから流れるように背後を取り…
左手で目元を隠し、右手でナイフを喉仏に沿うように当てる
「がっ…」
「捕まえた」
上手くできた…よかった…
けど何だかみんなの様子がおかしい。口をぱっくり開けたままの人もいた。あれ?もしかして僕何かやらかした…?
「あれ、ひょっとして烏間先生。みね打ちじゃダメなんでしたっけ?」
その質問に烏丸先生が答える前に
「そこまで!!」
殺せんせーが終了の合図をくれた
「勝負ありですよね、烏間先生」
そう言ってせんせーは僕のナイフを取る。
「まったく…本物のナイフを生徒に持たすなど正気の沙汰ではありません。ケガでもしたらどうするんですか」
と、ナイフをボリボリ食べながらぶつくさ言う先生。
「ははは…」
「やったじゃんか渚!!」
「ホッとしたよもー!!」
「大したモンだよ、よくあそこで本気でナイフ振れたよな」
それを期にぼーっとしていた筈のみんなが僕のところに駆け寄って来た