第1章 ドアノブを回す
「・・・アナタ魔性の男ですか・・・!? そんな事言われたら我慢なんてしないで欲しいって言いたくなるでしょ・・・!」
カリムは無理矢理唇を重ねてくる。
絡み合った舌がお互いを幸福感で満たしてくれる。
「・・・お前を、俺にくれ・・・! ユウ・・・!」
「上げます・・・! 自分の全部・・・! アナタに・・・! だから」
ーーーアナタも私に下さい・・・!
気がつくと朝になっていて二人は絡み合うように抱き合って眠っていた。
(カリムさん・・・)
眼鏡を掛け直し、絡み合った身体を解き寝巻きを着る。下は乾いているが着るのはあれなのでブラウス一枚という格好になる。
「逃げるのか」
ビクッとカリムに背を向けていた身体が振り向く。
「いえ、また来ます」
「その服じゃアレだろ? ウチのを使ってやってくれ」
「いえ、悪いですし」
カリムの切羽詰まった顔に(服如き何故今更?)と監督生は疑問に思った。
「良いから!」
「分かりました分かりました。ただ朝帰りなので他の人に見つかったら関係疑われますよ、カリムさん? カリムさんまさかアナタ」
ベッドの上で顔を真っ赤にしながらプルプル震えるカリム。
「・・・分かりました、ありがたく着ます」
「気をつけて帰れよ」
ドアノブは今度こそ回った。