第21章 雛から小鳥へ、本丸を継ぐ
私は幼少期のお父さんの本丸のことを大体思い出して、お父さんのところに直撃した。
バチン
と大きな音が本丸中に響いたことだろう。
お父さんは私に平手打ちされたから。
「お父さん。さいってー!」
「……悪かったって。」
「小鳥…なにか冷やすものを貰ってこようか?
手のあとが出来ているよ。」
お父さんは叩かれた頬を押さえながらため息をつく。
「いや…いい。」
「なんで大人ってこう子、どもの気持ちは無視なのかな?山鳥毛にしろ、お父さんにしろ!」
山鳥毛とお父さんはうぐっと喉を鳴らし頭が下がった。
「めんぼくない…」
「ところで話ってなんだ?」
「あのね、私。お父さんが引退したら審神者を引き継ぎたいと思うの。」
お父さんも山鳥毛も驚いた顔をする。
「雛鳥、それは正気なのかい?」
「審神者ってお前、危険がつきものの仕事だぞ?
分かってて言ってるのか?」
「そんなの、私の知らないとこで刀が一振破壊されてたんでしょうが!!。私の!知らないところで!しかも好きな人がっ!!」
「それは…」
お父さんが山鳥毛を見ると本人は、ぐるっとそっぽを向いた。
「山鳥毛だけじゃないからね?お父さんもだよ!?
なに山鳥毛だけの話にしようとしてるの!?」
「あ、いや。そんなつもりは…。」
ふはっと山鳥毛が笑った。
「小鳥は本当に雛鳥には弱いな。」
「山鳥毛…俺を裏切るのか?」
「すまない…もう裏切ってる。
私は、雛鳥の味方をさせてもらうよ。」
冗談交じりに私を見つめた。
あの燃えるような深紅の瞳で…。
「山鳥毛…今そういう話では無いんだけど…。」
ドキドキと脈打つ心臓に私は首を振る。
ある意味苦手な人だ。