第18章 懐かしさ
私の口からその言葉が出た。
なんであなたが泣きそうになるの?
嘘をつかないで本当のことを教えて欲しかった。
「……今なんと…!?」
目の前の彼が、驚きを隠せないと前のめりになる。
山鳥毛…。
私は彼を知ってる。
ぐしゃぐしゃに絡まっていた糸が解けたように繋がって行った。
そうだった…。
私の大好きな人…。
なんで今まで思い出せなかったのか…。
「雛鳥…。」
私はボロボロと溢れる涙を止められない。
山鳥毛は困ったようにしていた。
「私、ずっと山鳥毛の面影を探して恋できなかったんだよね。
ずっとずっと、探してて…。
顔も分からない人を探していたんだよ。」
山鳥毛は深くため息を吐いて上を向いた。
「……私の勝手な気持ちだ。」
「え…?」
「小鳥の愛娘である雛鳥を見守っていくうちに、子を思う親鳥ではない愛情とやらに気づいてしまったんだ。
私と雛鳥では、生きる世界があまりにも違う。
これ以上、傍にいては奪いたくなってしまうことを私が恐れたんだ。」
私は驚いた。
「山鳥毛…それって…」
サングラスを外して私に微笑んだ。
「私の方が焦がれてしまっていたんだ。」
私の目から乾きかけてた涙がまた溢れた。