第17章 恋心
どう生きるべきか分からなくて、何か大切なことがある気がして夢だった保育士になることを躊躇う。
私は気持ちを整理するように1つずつ、話し始めた。
「どこの誰かも分からない想い人と今、目の前に現れた男性を好きになってしまったらどうしたらいいか分からないことがひとつ。
保育士の現状に本当になれるか不安が1つ。
それと……。」
「それと?」
「……なにかやらなきゃいけないことがある気がして。」
「それは気のせいではなく?」
「分からない…。」
「君には考えることが多すぎるんだな。
少しずつ解決していくのがいい。
話は戻るのだが、想い人を探し続けるのかその好意ある男どちらを選ぶかということから聞こうか。」
ちょもさんは本当に大人だなぁと感じる。
同年代が恋愛対象にならない訳では無いけれど、と思いながら話を進めた。
「思い出せないなら、早く新しく恋愛してもと思っていたんですけど…。
気になる人が出来たんです。
その人、あんまり自分のこと話してくれないし私とも年齢は離れてるし。
きっと恋愛対象になんてなれないだろうなぁって。
なんか、どれもこれも諦めた方が楽かなぁって思っちゃって。」
目の前の相手は自分のことだろうと思ってないはず。
というか思わないで欲しい。
私が悲しくなるから…。
「そうか…君にも他に想う人が出来たのか…。」
あれ?
なんでそんなに悲しそうな話し方になるの?
私は話しながら自然と下を向いていた顔をパッと上げた。
目の奥が見えないからどんな顔をしているか分からない。
「そういえば、男女系の話はあんまり得意じゃなかったですね…すみません…。」
「聞くだけなら問題ない。解決の力には、なれないが。」
ちょもさんはそう言うとお茶を1口飲み込んだ。