第16章 夢の中の彼と香りの記憶
しばらくすると私は何か胸騒ぎがした。
だって、その香りがとても似ていたから。
昨日、ちょもさんに支えられた時に感じた匂い。
なんで私の缶に?
どうして、これが同じ匂いしているの?
私はスマホで線香や匂いについて調べた。
「お香…殺菌や抗菌効果もあるとされ香りを楽しむものもなかにはある。
匂い消しにも用いられる…。」
てことは加齢臭を隠すために使っていたパパから貰ったとか?
でも自分の父親がお香を焚いているとこ見たことないし、お父さんはそういうのに無頓着。
良くてお母さんが選んだ柔軟剤の匂いしか知らない。
高校上がってから?
いや、でも…それならなんでこの缶に入っていたのか?
ちょもさんに聞いたら分かる…訳ないよね。
たまたま知ってたとしても私が持つ理由が分かるわけない。
考えれば考えるほど訳が分からなくなる。
私はチラッとまだ火のついてるお香を見つめた。
モヤモヤが広がる中、それでもこの香りに嫌な感じはしなかった。
懐かしいような、落ち着く匂い…
それがお香の効果なのかは分からない
けれど、その落ち着く香りと掃除の疲れで私はいつの間にか眠っていた。