第1章 序章
2000年前、神々の国-----
一人の美しい少女の姿をした神が水鏡を通してある少女を見つめていた。
家畜を逃がした罪ゆえに、狩の練習台となってしまい逃げ惑う奴隷の少女だ。
??『可哀想に。年端もいかぬ少女を弓矢で追い詰めて。殺してしまおう、なんて。』
姫神の麗しくも巨大な瞳に涙がうかんだ。
その涙は、美しいが1粒がおおきく、それは、雨のように滴った。
彼女は情愛と創造の姫神、タニア
幼い少女を追い詰めるといった惨いことは見過ごせないのだ。
それと同時に人の痛みに弱い。
タニアは少女を見初め、ある事を決意した。
タニア『可哀想な少女。あなたに少しだけ力を授けます。』
そして、タニアは水鏡に写った大樹をみつめ、とある虫を水鏡の中に落とした。
タニア『少女よ、私の力をどのように使うかはあなた次第。
自らの仇をうつもよし、人々のためにつかうもよし、それを生かすも殺すもあなたがきめなさい。
家畜の運命に逆らい、あなたらしく生きるのです。』
水鏡をみつめながら、少女に語りかけた。
少女に届いたかどうかは、少女にしかわからない。
ただ、タニアの導き通り、少女は大樹の元へとたどりつき、その下の泉の中へとおぼれ、タニアの力を受け取り、やがて皇帝に仕えるのであった。
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