第15章 海野邸
――――私たちを乗せた2台の車はぐんぐんスピードを上げて、あっという間に高速を抜けて都内に入った。
都心からそんなに離れていない高級住宅地。なぎさの家は建ち並ぶ邸宅の中でも群を抜いて大きく重厚だった。
門の脇には何故か「ポリスボックス」があって、その前で制服の警官が恭しく敬礼をして私たちを迎えた。
大理石の柱に囲まれた玄関の前に車は横付けされた。
「ありがとね。」
機微な動きの運転手の手で開けられた車から慣れた身のこなしでなぎさが先に降りた。
「どうした?果音もショータも。
着いたよ?早く降りな。」
「‥‥‥な、なんかびっくりしちゃって。」
「お、俺も‥‥‥‥」
戸惑っている私たちを見てなぎさは豪快に笑った。
「あははははは!いち子たちも同じみたい。」
後ろの車から降ろされたいち子と賢人もポカンと大きなお屋敷を見上げている。