第14章 山荘にて
蕗田先生の別荘に着いた私たち。
「まあまあ、無事着いて良かったわ。お疲れさま、まずはおフロに入りなさい。」
蕗田先生の奥さん、美穂先生が温かく迎えてくれた。
「テキトーに買ったからサイズ合わなかったらごめんね。」
いち子が着替え(ジャージだけど)も用意してくれていた。
――――ダイニングには美穂先生の手料理が並んでいた。
「腹へった〜いっただきま~す!……_うめえっ!!」
ショータはさっそくがっついている。
きんぴらごぼうに卵焼き…………こんな温かいごはんは何時ぶりだろう―――――
「若い人が食べる様なお料理じゃなくてごめんなさいね…………あら?果音ちゃんどうしたの?」
優しく甘い卵焼きを口にした途端、涙が溢れてきた。
「分かる!泣けるほどうめえよ!ありがとうおばさん!」
「こらショータ、おばさんは失礼でしょ!美穂先生!」
「ほほほ、おばさんでいいのよ、なぎさちゃん。
果音ちゃん、ホッとしたのね、大丈夫、大丈夫よ。」
美穂先生が背中を優しくさすってくれた。
「………ぐすっ、あ、ありがとうございます……」
「果音、泣いてないで食わねえと俺が食っちゃうぞ!おばさんおかわり!!」
「ショータ食い過ぎだって。自分も負けずに食うぞ――――!」
「まだまだたくさんありますよ。こんなに食べてもらえると作りがいがあるわねえ。」
―――――その夜は本当に温かい気持ちでぐっすりと眠った。なぎさといち子と手を繋いで。