第11章 緊急事態
「ショータ!!」
「へへ、なかなか似合うだろ?果音もホンモノの看護師(ナース)みたいだな!」
「うんうん、ちょーカワイイ。注射されてえ〜〜」
「賢人!っざけんなっ!」
ショータは私の頭越しに手を伸ばして賢人を小突いた。
「っててて………やったな!ショータ!」
「こらこら、あんまりはしゃぐな。」
ハンドルを握っている人物が優しく諌めた。
「わかったわかった、じいちゃん。急いでくれよ。安全運転でな。」
「無茶言わないでくれ、まったく悪ガキどもが。」
―――――優しい声の主はあの懐かしい『蕗田先生』だった。
「先生!!」
「果音くんも無事で良かった。」
「ふう………これでまず3人!脱出成功だね。」
助手席の人物が振り返って言う。
またまた懐かしい声。
―――――いち子だった。