第11章 緊急事態
『ビーッ……ビーッ、ビーッ……』
私は何度も何度もボタンを押した。
「うるさいっ!一回押せば分かる!
夜中にいったい何だ!?」
駆けつけて来たのは白田先生じゃない夜勤の係員だった。
「頭が………割れる様に痛いっっ!!」
「………風邪でもひいたか?ひ弱なのは厄介者だな、今クスリを。」
「痛い痛い痛い痛い!!」
私は頭を抱えて床をのたうち回った。繋がれた鎖が絡まるほどに。
「……これはマズいんじゃ?」
もう一人の係員が言った。
「とりあえず医者に診せるか。」
程なくしてやって来たお医者さんは床に転がったままの私の脈をとったり血圧を測ってから、
「これは重症です。今すぐ病院に運んで検査を!」
声で前にお腹をこわした時に呼ばれたお医者さんと同じ人だと思ったが、前回はいかにも面倒臭そうだったのに今夜は――――違った。
「…………しかし、救急車を呼ぶわけには……」
「私の車で運びますっ!!」
「………昨日も一昨日も男子房、女子房共に急病人が出ていると聞いていますが、伝染病か何かでしょうか?」
「それは検査をしてみないと分かりません!
そうでなくても――――
こんな環境ではいつ病気になってもおかしくありませんよ!?」