第10章 スワップ
「うわっ!びっくりした!
は、恥ずかしいから見るなっ………」
掛布の端を裂いた布切れを飲み水に浸したものでトッドがコンクリの床に描いていたのは――――
「すごい!素敵!デザイン画?」
「ま、まあな………ちゃんと勉強してないから自己流だけど。」
「………こんな素敵な服着てランウェイ!歩きたいなあ……」
「ランウェイ?もしかしてなぎさが言ってたモデル志望のコって果音?」
「うん!なぎさはメイクアップアーティスト志望でいつか一緒に世界に出ようって!
あはは、果てしない夢だよね。」
「その夢にオレも入れてくれないかな………なんて………」
「もちろんだよ!トッドのデザインした服を着てなぎさのメイクでショーモデル!最高だよ!
ねえ、もっと描いて!」
「よし!じゃあ次は果音に似合いそうな帽子だ。」
トッドが次々に床に描く絵はあっという間に乾いて消え去っていった。
まるで儚い夢の様に―――――