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某国立新高等学校

第8章 パンダ


来た時と同じ様にドタドタと係員たちは房を出て行った。


カラダを解放された私はいつの間にか溢れていた涙を両手で拭った。

「大丈夫かっ!」

ショータが駆け寄って来て私のカラダに手を掛けた。

「起きれるか?」

ショータの少し冷たくなった手が肌に触れると私のカラダばピクッと反応する。

「………っ!果音、どこか痛むか?怪我させられたか?!」


「大丈夫だよっ、私よりショータ!血が出てるじゃない!」

係員に殴られたショータの口の端から血が流れていた。

「こんなんへーきへーき!」

ショータは拳で血を拭った。


ショータの手を借りて起き上がった私は掛け布の端を裂いて飲み水で濡らした。

「こ、これでっ!」

ショータの口の端に当てる。


「ありがと…………気持ちいいよ……

しかしあいつら乱暴だよな!本当になんともないか?」

「うん………」


いや、正直言うとなんともなくはない………ショータの前であんなことされるなんて私はすごく傷ついていた。

だけど私よりショータの方が……酷いこと言われて侮辱されて深く傷ついているに違いない。

「許せない………」

思わず呟いたらまた目から涙が溢れた。


ぎゅっ…………

………いつの間にか私はショータの腕の中にいた。
押し付けられた胸は温かくて……………

「………ごめんな。」

「えっ?ショータは何にも悪くないよっ。」

ショータは黙って私を抱く腕に力を込めた。




それからショータはこれまでよりもっと優しく私に接してくれた。

世話に来る係員が少しでも私に乱暴な振る舞いをすれば怖い目で睨みつけて怯ませてくれた。


その後は楽しい話をして笑わせてくれる。


不安で眠れない夜はずっと頭をぽんぽんしてくれて―――――――






ショータ………大好きだよ。
離れたくないな。


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