第6章 第二学年一学期
私はシオリさんが羨ましい。
ショータにこんなに愛されてることもだけど、こんなに屈託なく自分の気持ちを口に出して行動出来るなんて――――私と違って周りから大事に大事にされてきたんだろうなあ。
ある日の食餌に「すいか」が出た。
「すいかだ!夏が近いんだね。」
「だな、ここに居ると季節もわかんねえな。」
ショータはクスクス笑った。
「何?どうしたの?」
「ごめん、思い出し笑いだ。去年の夏、シオリに親戚から送られてきたすいかを持って行ってやったんだ。……あいつすいかの食い方知らなくてさ。種飲み込んじまって。」
「へえ―――。」
「『種飲んだらヘソからすいかの芽が出るぞ』ってからかったら本気にしちゃって。」
ショータはケラケラと笑った。
(……シオリさんの話をする時のショータは本当に楽しそうだな。)
ガバッ!!
いきなりショータが覆いかぶさってきた。
「きゃ…………」
耳元にくっつくほどに口を近づけられた。
「騒がないで聞いてくれ。」
私はくすぐったかったけど只ならぬショータの態度を察して必勝に堪えた。
「――――俺はここを絶対出る。」
(えっ………………)
私は出来るだけ小声で言った。
「ちょ、ショータ……マイク、聴こえちゃう。」
「大丈夫だ、ここのマイクはそこまで性能は良くない。俺、実は「機械ヲタ」だからすぐ分かった。他にもここのセキュリティは案外甘い。
おそらく急ごしらえでお金もあまりかけていないな。」
「……………!」
「協力者もいる。少しずつ話すよ。」