第2章 三者面談
―――――(警察署から直行で三者面談なんて前代未聞だろうなあ………)
私、宮本果音はどこか他人事の様にぼんやりとお母さんの運転する車の後部座席に座っていた。
「――宮本です。」
警察署を出てからずっと無言だったお母さんが初めて口を開いて指導室の扉をノックした。
「この度も申し訳ございませんでした!」
「………今回は、何でしたっけ?」
「深夜にゲームセンターに居たところを補導された様です。迷惑をかけてばかりの酷い娘で本当に申し訳ありません、先生。」
ずっと学校行ってなかったから担任の顔を見るのは久し振りだった。
(なんかまたアタマ薄くなったみたい!ってここで笑ったら怒られるやつだわ。ガマンガマン。)
「今回で補導は5回目ですね。万引きやら何やらで。」
「はあ、本当に酷い娘で………。」
(酷い酷いってあんたの娘でしょうが。昔からどこか他人事なんだよね。)
「……学校にも来てませんし、成績もクラス最下位。そしてこれだけ素行も悪い果音さんの進路はないに等しいですよ。」
「………はあ、高校だけでもと思うのですが、どこか入れてもらえそうなところは……」
(げー、高校だって!もう勉強はこりごり。お姉ちゃんと違って私バカだもん。
とか言って働くのもメンドいなあ。何処いってもブスだブスだっていじめられるだろうしさあ!)
「う―――ん。」
担任は眉間にシワを寄せてデスクの上の書類をパラパラとめくった。
「果音さんでも入れそうなのはここしかないでしょうなあ。」
一枚の殺風景な学校案内を差し出された。