第5章 第一学年二学期
私果音はなぎさの他に「いち子」や「莉里」といった仲間も増え、毎日をお気楽にまったりと過ごしていた。
「いち子」は名前が古臭いからといったくだらない理由で幼稚園からずっといじめられていて小学校は保健室通学、中学校にはほとんど登校していないという。
「莉里」は親の育児放棄を受けていて――――
なぎさは―――――茶化してばかりで自分のことはあまり話したがらないのだが、お母さんは「シングルマザー」だとのこと……
こんな感じでいろんな境遇のコたちが集まってきている我が校だけど、『衣食足りてなんとやら―――』でこれだけ恵まれていて退屈させない環境だからか「いじめ」や「揉め事」は一切起きないのだ。
二学期が始まった日の『体育』の授業の時間のこと。
いつもの様に体育教師(?)はバレーボールやバスケットボール、バドミントンのラケットなどを体育館の隅にテキトーに置くとすぐに居なくなってしまった。
もっともちゃんとジャージに着替えて体育館に居るのはクラスの半数もいない。大部分が「怠い」とかで教室に残っているか、カフェなどでくつろいでいる。
制服だけじゃなくてジャージもカワイイので私は運動しなくても毎回着替えてしまう。なぎさも「バッカじゃないの?!」とか言いながらも一緒に着替えてきている。
「つかもう二学期なんだねー」
バスケットボールをもて遊びながらなぎさが云う。
「だねー、夏休みがないから実感ないよね。」
「毎日が夏休みみたいなもんだし!プールパーティー楽しかったね♪
あーウチ、アイス食い過ぎて体重ヤバいからちょっと動くわ。莉里付き合え!」
「え〜」
中学校でバスケ部だった莉里が巻き添えにされた。
なぎさは帰宅部だったらしいが、悠々と莉里からボールを奪って――――――――見事なシュートを決めた。
「すごい!なぎさ、その距離で決まるなんて!」
思わず拍手する私の肩を誰かが叩いた。
振り向くと担任の白田先生が立っていた。
「宮本さん、ちょっといい?
――――――――ご両親がお見えよ。」