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某国立新高等学校

第16章 プリンセス


――――帰りの電車。二人とも無言だった。

(何か話しかけた方がいいのかな……でも何て言ったらいいのか………)



ガタン!!

「きゃっ!」

その時電車がにわかに強く揺れて私はよろけてしまった。


「大丈夫か?」

ショータが右腕を掴んで支えてくれていた。

「……あ、うん、ありがと。」


「………………だったな……」

「え?」

「幸せそうだったな、シオリ………」

「………そだね……」

「薄々は分かっていたんだ…………いいさ、あいつが幸せなら…………」


「……………うん……」

「なんで果音がそんな顔してんだよ?!」

ショータは白い歯を見せて笑い、私のおでこを人差し指で突っついた。



なぎさの家に近づくと何やらいい匂いがしてきた。

(…………こんな日でもお腹は空くな。)

『ぐう〜〜〜〜』

そんな事を考えてたらお腹の虫が鳴いてしまった!

「やだあ!恥ずかしい!」

「あはははは、俺もハラ減ってきた!」



「果音!ショータあ!待ってたよお!
早くおいで―――――!!」

今はポリスボックスも撤去されてスッキリした門を開けると広い庭の端からなぎさが大声で呼んでいた。


「トッドがね、バイト先で使わなくなった『タコ焼器』もらってきたから今夜はタコパだよ!」

「うわあ!いい匂いのモトはこれかあ!」


トッドの横でバンダナを巻いてタコ焼を返しているのはなぎさのお母さん!

「おばさん、上手いなあ!」

「ふふふ、トッド君、初めてやってみたけど楽しいわね♪」

「才能あるっておばさん、タコ焼屋やったら?」

「いいわねえ、なぎさ、お店手伝って頂戴ね。」


「……ぐっ、ひゃあだよミャマ……あふっ……」

熱々のタコ焼を頬張っていたなぎさ。

「なぎさ、何言ってるかわかんないよ!」

皆でゲラゲラ笑う。


なぎさとお母さん――――しばらくは大変だったけど、最近は普通の
母娘らしくなってきた。


「果音も早く食べな、熱いうちか旨いよ!」

「俺にも焼かせろ――――」とショータ。

「あらあら、ショータ君も上手!海野タコ焼店はショータ君に手伝ってもらおうかしら?」

「へいっ!喜んでぃ!」


そしてまた皆で笑い合った。


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