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【現在HUNTER×2イルミリク執筆中】短編集【R18】

第2章 【ヒロアカ 】【自作】月は夜を照らさない※ホークス【R18】


彼女は夜空に浮かぶ月の様な人だった。
見上げれば綺麗に輝いているのに、月の光だけでは街を照らす事はできなかった。
いつもの様に、2人で任務を終えると、人気のない汚いビルで俺達は肩を並べて、彼女はいつもの様にタバコに火を付ける。
「仁美さんタバコ辞めて下さい、臭いっす。」
「はっ、タバコも吸えないガキが。」
「そのガキの前でタバコは良く無いでしょ。」

俺が煙を嫌がる様に手を振ると、仁美さんはいつもの様に俺を馬鹿にした様に笑う。
歳は3歳位しか変わらないのに、俺はいつまで経っても子供扱いだった。
「‥レディ・ナガンを捕まえたって。」
「‥ああ。」
俺は最近仁美さんがナガンを捕まえた話をした。

ナガンは俺と同じ、光と闇を演じる公安部員だった。
だんだん闇に呑まれて、その身をヴィランに堕とした。
「尊敬していた先輩だった、とても苦しかったよ。」
仁美さんはタバコを消すと、全くそんな風に感じさせない表情で言った。
俺はそんな仁美さんの顔から目を背けて、ポツリと言った。
「仁美さんは堕ちんでくれん。」
そう言った俺を仁美さんは目を細めて見た。

そして俺の頭を徐にガシガシ撫でると、笑いながら言った。
「私には光が無いから、堕ちる事もない。」
そんな仁美さんを、俺は訝しげに見る。
仁美さんは光の仕事をしない、闇だけの公安部員だ。
誰の目にも留まらず、ヒーロー名も無い、ただ汚い仕事を淡々とこなしている。
だから俺は余計に心配なんだ。

「まさか、子供に心配されるとはな。」
俺を茶化す様に言うと、仁美さんは腕を上げて伸びるて見せると、帰る仕草をする。
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