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【現在HUNTER×2イルミリク執筆中】短編集【R18】

第4章 【ヒロアカ 】【自作】宝贝儿※荼毘【R18】


この弔の残像に手をかざせば、空を腕が切るのは分かっている。
だけど私はどうしてもその顔に触れたくて、やっぱり今日もその顔に触れようと手を差し出す。
いつもの様に空を切る自分の手に涙が出るのはいつになれば慣れるのだろうか。

もうきっと、あの部屋の自分の匂いは無くなっているだろう。
だけど弔がそれでも、あの部屋に通うのは分かっている。
ああ、薬を口実にドクターのラボへ行ってみようか。
そして今は弔の匂いしかしないだろうあの部屋で、一晩だけでも過ごすのも悪く無い。

そんな甘美な誘惑は色々な理由から実現しないのは分かってる。
きっと日本に帰った瞬間、私を見つけるのはきっとホークスだろう。
彼を欺いて、弔の元に向かうのはまず骨が折れる。
それよりやはり、もう私はこの世界の破壊を望んでいなかった。
私の辿った道は、どうしても尊い命で繋がれていて、それを守りたいと思う私と、弔とはどうしても一緒に居れない。

あの時弔が言った様に、もう私は弔の横で、弔のその世界で、彼の為に笑って側に居る事が出来ないのだった。
随分と離れた2人の世界なのに、どうして気持ちはそれに比例しないで、離れれば離れるほど求めてしまうのだろう。
『せいぜい頑張れよ。』
いつもそう言う弔の残像に、私は目を細める。

頑張るよ、貴方が離れても私が生きていく事を望むなら。

明日からまた、新しい目標の為に、私はこの世界を歩いて行く。

貴方はいつまでも私の宝贝儿で、私の生きる意味だから。
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