第6章 リョータ・三井復帰
「くっ…花道…ごめんね…!!」
その場で、は思わず床に手をついた。
胸の奥に残ったままの後ろめたさと、少しの切なさが一気に溢れてしまったのだ。
三「お、おい…」
三井は戸惑ったように声をかける。
は、涙をこらえながら三井を見上げた。
「私が花道と過ごす時間あげたんですから絶対手抜かないでくださいね!?」
三「あ、あぁ…」
三(な、なんだ…?桜木のことが好きなのか?)
三井は曖昧に頷きながら、内心で小さく首を傾げた。
「よーし、行きますよ」
三「いいぞ、来い」
コートに空気が張り詰める。
2人の1on1が始まった。
序盤は三井の独壇場だった。
鋭いフェイク、迷いのないシュート。
次々と点が入っていく。
だが――
三「はぁ…はぁ…」
後半に差しかかると、三井の動きに明らかな重さが出始めた。
「こっからですよ。こっからが踏ん張りどころです」
それに対しは息一つあげていなかった。
三「うるせぇ…はぁ…」
返事は荒いが、足は止めない。
そしてその瞬間から、流れが変わった。
が次々とボールを奪い、確実に点を重ねていく。
三「はぁ…はぁ…ちょっと休憩だ…」
「はぁ…仕方ないですね。少しだけですよ」
この時点で、三井は完全に息が上がっていた。
一方も、わずかに呼吸は乱れているが、動きに余裕が残っている。
はコートを離れ、自販機へ向かった。