第10章 退場王
鉄「三井…か?」
三「鉄男…」
鉄「後ろにいるのはおめぇの女か?」
三「あっ、い、いや…」
「違いますけど」
鉄「お前はあの時の…」
「どーも」
鉄男は三井に視線を移し、なんでここにいる?という顔をした。
三「あっ、あぁ…膝を検査してもらったんだ。一応」
鉄「なんだ、その頭は」
鉄男はタバコに火をつけた。
鉄「スポーツマンみてぇだな」
三「っ…」
鉄「まっ、そっちの方が似合ってるよ。おめぇには」
三「鉄男…」
するとパトカーのサイレンの音が聞こえた。
鉄「おおっと追いついてきやがった。まいたと思ったのにな」
鉄男はタバコの火をすぐ消すと、バイクに乗った。
鉄「ヘルメットってのが嫌いでよ。じゃあなスポーツマン。そのお嬢ちゃんのことも大事にな」
鉄男は行ってしまった。
三「じゃあな、鉄男」
「関わるなとは言わないですけど(花道とかも元はと言えば不良だしね)、もう悪いことしちゃダメですよ?三井さん」
三「ハハ、しねーよ。夜はまだちょっと冷えるな。帰るぞ」
三井は自分のジャケットをの肩にかけた。
三「そういえば、は何してたんだ?」
「あぁ…ちょっと散歩を」
三「こんな時間に?」
「はい…」
三「…」
「…」
三「隠してねーで言ってみろ。なんかあったんだろ」
「なんでバレんですか…」
三「お前に隠し事は無理だ。桜木のことか?」
「はい…一昨日の試合の時のこと、花道謝ってくれたんですけど、またああなったらと思うと話しかけるの怖くて…」
三「まぁなぁ…桜木もカッとなって言っただけだから、本当にあんなことは思ってないだろうが、そりゃトラウマになるよな」
「うん…」
三「まぁ俺としては喜ばしいことだけど、別にいいんじゃねぇか?そんな気にしなくて」
「そう言われても…」
三「それで桜木がお前との関係を取り戻したいと思うなら、桜木の方から来るはずだ」
「来なかったら…?」