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何も知らない僕たちは

第3章 3


「ん…『今日は意外と寝つきが良くないな…』」

不覚にも夜中に起きてしまった。再び眠りに着こうとしても珍しくその気にはなれなかった。いっそ起きていようと体を起こした時に異変に気が付く

あるのはいつも自分が使っている草布団。
彼女にかけてあげたはずの草布団。

少女の方を見ると案の定何もかけていなかった。小さい肩が規則正しく上下しているのを見るといたずらではなさそうだ

「全く、最近冷え込んでるのに…風邪ひいちゃうよ?」

彼女にまた布団をかけてやると定位置に戻った
やはり眠くはならないので瞼だけ閉じることにした






カサっ




また草の匂いがすると思ったから今度はしっかりと捉えた

「捕まえた」

狸寝入りだったことに驚いているのか瞳は真ん丸だった。まるで罠にかかった虫みたいな顔をしている

「何してるの?僕はいいから」

そう弁論するも少女はブンブンと首を横に振る。おそらくNOという答え。人のものは借りたくないのだろうか

「そういわれても…」
渋っている内に彼女は自身のカーディガンを脱ぎそれを掛布団代わりにして寝ころんだ。
それで満足なのだろうか。色々おかしい

「それじゃあ意味ないと思うけど…まあ君がいいならいいか…」

『それにしても見かけに寄らずしっかりした子だな…神経質というよりかは他人の優しさに甘えない自立心の方が近いのかもしれない。

でも、この子が幾つかは知らないけれどまだ子供ならもっと誰かに頼っても、縋ってもいいと思うんだけどな…』

鬼太郎は少女の傍に寄り、頭を撫でる。本人はただの暇つぶし程度のことである。
まだ完全に眠っていないのか触れられたことに反応して体をびくつかせた。まだ警戒しているようで嫌そうにうめいたが少女はそのうちその手を受け入れた

撫でた手にすり寄ってくる姿を見て



『猫だ…』
と思ったのは言うまでもない

少女の髪の毛先はチリチリしていて傷んでいる。散髪屋にはいかないのだろうか。あるいは気にしない体質とか…

もしくは第三の仮設として…















『いや、これ以上考えるのはやめておこう。彼女に失礼かもしれない』


「…ん…」と少女が寝言を放つと鬼太郎は再びその手を動かした
外からの月の光を頼りに少女を見つめる

『今夜は退屈しなさそうだな…』
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