第70章 報告
『れ、零くん…?急にどうしたの?』
「ポアロで美緒の可愛い笑顔を見たら家まで我慢出来なかった。」
『なっ…!
もう!不意打ちはやめてよ!心臓に悪い…。』
「ははっ、ごめんごめん。」
…その顔は絶対悪いなんて思ってないな!
私がじーっと睨んでいるにも関わらず、すっごくニコニコしてるし。
「晩ご飯は美緒が食べたい物作ってやるから機嫌直せ。」
『…久しぶりにハンバーグ食べたい。』
「了解。スーパー寄ってから帰ろうな。」
零くんに頭を一撫でされてから、車はスーパーに向かって走り出した。
そして材料を買ってから私達の住むマンションに帰宅し
零くんは家事を終えてから晩ご飯作りに取り掛かった。
手伝おうか?って聞いても
零くんはいつも手伝わせてくれなくて、座ってろって言われる。
彼が優しいのは分かるんだけど
なんだか甘やかされ過ぎている気がする…。
でも結局、零くんの言うことには逆らえなくて
私は最近家事を全くやらせてもらえない。
少しくらいやるって言っても、全く聞く耳を持たずで困っている。
ソファーに座りキッチンでご飯を作ってくれている零くんを見ながら
私は少しだけ出て来たお腹をそっと撫でてお腹の中の子に心の中で語りかけた。
『あなたのお父さんはかなりの心配性だよ…。
そういうところは似ないようにね。』