第62章 約束
side 松田
事件の日からすでに3ヶ月が経ったが…
美緒の意識はまだ戻らないままだった。
俺達は仕事の合間を縫って、何度か美緒の見舞いにきたが
いつ来ても美緒は目を閉じたまま気持ちよさそうに眠っている。
以前、美緒の寝顔を初めて見た時は
あまりにも可愛くてずっと見ていたいと思ったが…
今はもう……
早く目を覚まして欲しくて仕方がない。
寝顔なんかより、ずっと可愛い笑顔の方が見たいとしか思えなくなっていた。
……そんなことゼロには言えねぇけどな。
美緒が眠っているベットの近くのテーブルには
俺が以前美緒に買ったピアスが置いてある。
事件の日……あいつがそれをつけていたと思うと
すげぇ胸が苦しくなって泣きそうになっちまった。
なんだか…
美緒はまるで
死を覚悟していたんじゃねぇかって思ったんだ…。