第61章 擁護
富士崎に言われた通り
誰にも知らせずビルにやってきた。
そのビルは6階建くらいの高さで
私が今いる場所は一階のロビー。
照明は一応ついてはいるが、夜だからというのもあってかなり薄暗く、人がいる気配はなかった。
何処に向かえばいいのか分からず
キョロキョロと周りを見渡していると
どこからか足音が聞こえてきて、
男が1人、私に銃を向けながら近づいてきた。
『…私の友人はどこ?』
「こっちに来い。」
ゆっくりと近づいて行くと男は銃を向けたまま私の背後に周り
そのまままっすぐ歩くように指示をして来た。
少し歩くと階段のある場所に連れて来られて
そこから地下に向かって降りた。
階段を降り切ると鉄の扉があり、その扉を開けて中に入ると
そこは地下倉庫のようでコンクリートでできた壁に
何本かのコンクリートの柱が立っている場所だった。
所々にライトが置かれているが
地下ということもありここもかなり薄暗い。
諸伏くんの姿を探していると
柱の陰から気味の悪い声で笑いながら1人の男が姿を現した。
『…っ、富士崎 蓮也…。』
「くくくっ、やっと会えたな?
ずーっと君に会いたかったよ。」
『…私はあんたの事を見た瞬間から
ずっと吐き気がしてるんだけど。』
「おー怖い怖い。相変わらず気の強い女だ。」
全然怖いと思ってない口調でニヤついている富士崎。
気持ち悪くて鳥肌が立つ…。
富士崎を睨んでいると、何処からか鎖が擦れる音が聞こえた。
「ほらほら、お友達と感動のご対面だよー?」
富士崎が向いた方向へ視線を向けると
そこには諸伏くんの姿があった。
『っ!!諸伏くん……!!』
彼は天井から吊るされた鎖に両手を挙げた状態で拘束されており
膝をついて下を向いていた。
全身ボロボロで口からは血が流れた跡があり
まるで拷問されたかのような酷い姿だった。