第57章 出張
先日の雑誌騒動から数週間後ー…
ようやく私の噂が世間から消えてくれたので
ウィッグを外して生活できるようになった。
3種類のウィッグをエリスに用意してもらい
それを使い回して過ごしていたら
雑誌の表紙の人物が私だと気付かれることはなかった。
私は零くんに言われた通りウィッグをつけた時の写真を毎日ちゃんと送ったんだけど…
返事が全部、【可愛い。】でくるから
どうしようもなく恥ずかしくなった…。
ーーー…
いつも通り仕事をしていたら梢さんから声がかかり会議室に向かった。
会議室に入ると社長もいたから、きっと仕事の話なんだろうと思い椅子に座った。
東「若山は確か明後日休みだったよな?
もう何か予定入れてるか?」
『いえ。まだ特に決まっていません。』
本当は零くんに会いにポアロに行きたいところだけど…
この前彼と会った日から結構日が経っているが
相変わらず仕事が忙しいみたいでポアロも休んでいると聞いた。
だから本当に何も予定がないんだ。
梢「実はね…
この前わたしの知り合いの警護をしてもらったことがあったでしょ?」
あー…確か先月に警護した大企業の社長だったかな?
梢「今度その人の娘さんと長野に日帰りで温泉に行く予定なんだけどね、
美緒ちゃんも一緒に来てくれないかなって思って。」
詳しく話を聞くと、その娘さんは子供の頃
お金目的で誘拐されそうになったことがあるから
それがトラウマになって今でもずっと護衛をつけて生活しているそうだ。
『ボディーガードをすれば良いんですか?』
梢「お願いできないかな?
普段付いてる護衛の人は男の人しかいないらしいから
さすがに温泉入ってる時の警護はできないもの。
私だけじゃ何かあった時不安だし…だめかな?」
長野かぁ。
私は別に行ってもいいんだけど、
私と梢さんが2人とも1日会社不在なのは良いんだろうか…。
東「こっちのことは気にしなくていいから
行ってやってくんねぇか?」
『社長が良いと仰るなら…梢さん、よろしくお願いします!』
梢「ありがとう美緒ちゃん!」
『実は私も温泉に入りたかったんですよね〜。』
だから少し楽しみだ。