第55章 決闘
『松田くん!頭あげてよ!
私もう怒ってないから!!』
松田くんが頭を下げるなんて思わなくて
慌てながらそう伝えると、彼は頭をゆっくり上げてくれた。
『確かにちょっとムカついたけど
零くんが私の分まで怒ってくれたと思うし……
もうあんなことしないでしょ?』
「ああ、やっとお前のこと諦められそうだよ。
ちゃんと謝りたかったから、ゼロに頼んでお前を連れてきてもらったんだ。」
『そっか…。』
「美緒……詫びのついでにいい事教えてやる。」
『ん?』
「あいつ…お前の全部が好きなんだってよ。
ダチの俺にも美緒だけは絶対譲れないってめちゃくちゃ怒ってた。」
『へっ!?』
零くん……
松田くんにそんなこと言ったの!?
かなり嬉しいんだけど、恥ずかし過ぎて絶対顔赤い気がする…。
そんな私の顔を見た松田くんは、私の頭にポンと優しく手を置いた。
「あいつに幸せにしてもらえよ?…じゃあな。」
私の頭から手を離し、公園の反対側の出口に足を進めた松田くんを私は咄嗟に声をかけて引き止めた。
『松田くん!私のこと好きになってくれてありがとう!
またみんなで飲みに行こうね!!』
満面の笑みでそう伝えると、松田くんは一瞬驚いた顔をしていたがすぐに笑顔を見せてくれた。
「…おう!また声かけるからな!」
松田くんは手を挙げてから私に背を向けて公園を出て行ったので
私は零くんが待っている場所へと走って戻った。
零くんは車にもたれながら私を待っていてくれて
勢いよく彼に抱きついた。
「…ちゃんと話せたか?」
『うん!』
「よかったな。じゃあデートの続きするか?」
『するー!どこ行こっか?』
「お姫様の仰せのままに。」
『!?だからそれやめてってば!」
「あははっ。」
2人で零くんの車に乗り込んでから
私たちは夜までデートを楽しんだ。
適当に街をぶらぶらしたりランチを食べたりしながら
くだらない話もたくさんすることができて
すごく楽しい充実した1日を過ごした。
零くん…
これからもずっと一緒にいてね。
私もあなたと一緒で…零くんの全部が大好きだよ。