第55章 決闘
ハロウィンに起きた爆弾事件から2週間が経った。
その間、私は零くんと一度も連絡を取っていない。
2週間前…
松田くんにキスされたことを告げたら
タイミング悪く公安の刑事さん達が零くんを呼びに来てしまい、私達はそのままそこで別れた。
松田くん達は全員怪我もなく無事だったことを公安の刑事さんから聞いたので
私はみんなと顔を合わせずに自分の家に帰ってきた。
零くんは去り際、「また連絡する。」と言っていたが
私に背を向けていたのでどんな表情でそう言っていたのかは分からない。
連絡が来ないのは、まだ爆弾事件の後処理で忙しいからだと思うけど…
本当はもう零くんに嫌われてしまったんじゃないかって考えが何度も何度も頭の中をよぎっていた。
その度に、そんなはずない!って自分に言い聞かせているけど
さすがに2週間も連絡がないと、私のメンタルはだいぶやられてきてしまっていた。
首に爆弾をつけられていたせいで数日間仕事を休んだわたしは
迷惑をかけた分を取り戻すため仕事に打ち込んでいた。
忙しくしていれば余計な事を考えなくても済むし、
警護スケジュールもパンパンに詰め込んでもらうように社長に頼んでいた。
今日もボディーガードの仕事を終えて事務所に戻る頃には
すでに夜8時を過ぎていた。
警護報告書を作成し終わるといつの間にか夜10時を過ぎていたので、事務所を施錠し、家に帰ることにした。
帰り道…
スマホを確認してみるが今日も零くんからの連絡はない。
明日は休みだけど、何して過ごそうか…。
とぼとぼと帰路を歩き、アパートの前に着くと
朝、家を出る前にちゃんと消したはずの部屋の電気がついているのが外から見えて
わたしは部屋に向かって走り出した。