第53章 昔話
奴は最後の悪あがきをするかのように
隠し持っていた手榴弾を隣のビルに向かって投げやがった。
俺達は投げられた手榴弾の方に銃口を向けたが
タイミング悪くビルのライトが光り、照準を合わせられなくなってしまった。
伊「おい!やべぇぞ!」
零「くそっ!!!」
コ「大丈夫!僕に任せて!!」
眼鏡のボウズは身につけていたベルトからサッカーボールを噴射し蹴り飛ばすと
ボールは手榴弾に当たり、空には花火が咲いていた。
諸「あの子供…一体何者?」
松「あいつは…生意気なちっこい探偵だよ。」
手榴弾による被害が出なかった事に安心していると
プラーミャは俺たちの目を盗んでゼロが乗ってきたヘリに乗り込み離陸していた。
そして予備の起爆装置らしきものを取り出し、笑っている様子が見られたから
恐らく美緒につけた爆弾を起動させたんだろう。
コ「!!やばいよ!美緒さんの首輪の爆弾が…!」
松「大丈夫だ。美緒の爆弾はもう外してある。
奴が起動させた爆弾は……」
ヘリの中にある。
そう言おうとしたら、ヘリの機体が爆発し炎を纏っていた。
松「液体は科学班が完全に分析してから、似せて作った偽物だ。
奴が持ってる起爆装置と連動するように萩原が爆弾を作ってたんだよ…ゼロの指示でな。」
コ「さすが安室さん…。
そこまで考えていたなんてすごい…!」
ボウズが感心していると、
爆発して操縦が効かなくなったヘリは上空から徐々に高度が下がっていき
ゼロはプラーミャを捕まえるため、ヘリに向かって駆け出していた。
零「みんなは下で待っててくれ!!」
伊「おい!どうする気だ!!」
班長の言葉を無視したゼロは
走ってビルから飛び降りるとヘリの脚を掴み乗り移っていた。
松「っ、あのバカ!!
また1人で無茶しやがって!!!」
諸「…犯人はゼロに任せて俺達は下に行こう!」
ゼロが無事でいることを祈りながら
俺達はビルの屋上から地上へと駆け出した。