第52章 人質
『お先に失礼します。お疲れ様でした!』
東「おーお疲れー」
社長に挨拶をして事務所を出た私は
グーッと腕を上げて背筋を伸ばし、アパートまでの道のりを歩いていた。
しかし、その途中…
「…だれか…ぁ……!
たす………て……ぇ…!」
どこからか子供の泣き声が聞こえて来て
耳を済ませると、普段通らない脇道の方から聞こえた。
脇道を進んでいくと路地に出て
声が聞こえる方へ足を進めると一軒の廃ビルに辿り着いた。
そして、そのビルの屋上にある一本の柱に
子供がロープで括り付けられているのが確認できた。
『!!なんであんなところに子供が!?』
私は急いで廃ビルの中に入り階段を駆け上がり
屋上の扉を開けた。
『お嬢ちゃん!大丈夫だよ!
今助けてあげるからね?」
女の子が括り付けられている場所は
手すりを超えたところにある柱だったため
ロープが切れて落ちると100%助からない。
「うわあああん!怖いよお!!」
『大丈夫だから!!下を見ずに私を見てて?』
しかし、女の子の元へ行く為に手すりを飛び越えようとしたところ、
背後から誰かが近づいてくる気配を感じた。
『っ、!?』
足蹴りをされそうになったが
私はそれを横に倒れて交わすとその人物の蹴りは手すりに当たり、
ガン!と音を立てていた。
『あなたがこんなことをしたの?』
私を蹴り飛ばそうとした人物……
その人物は不気味な面をつけており、表情は見えない。
再び私に向かって来て、その人物は右腕があがらないのか
左腕と足だけで攻撃を仕掛けて来た。
『…くっ……!』
相手はかなりの強者で、
強い蹴りを喰らいそうになり咄嗟に腕でガードしたけど
私は少し飛ばされて片膝をついた。
『あなた…一体何者?』
面の人物は私の問いに答えず、
女の子が括り付けられている柱へ向かって行った。
…何をする気……?
その人物の様子を見ていると
懐からナイフを取り出して女の子を縛りつけているロープを切ろうとしていた。
『っ!!』
なんて事すんの!!
私は走ってそこに向かい、手すりを飛び越えると同時にロープが切れ
女の子は落下しそうになったが間一髪でその子の腕を掴むことができた。