第51章 副手
彼の寝顔を眺めていると、
急にパチっと零くんの目が開いた。
『おはよ、零くん。』
「おはよう。」
体を起こした零くんは、
私の体を抱きしめて幸せを噛み締めているようだった。
「久しぶりに気持ちよく眠れたよ。
美緒が隣にいると安心する。」
『ふふっ、良かった。』
「このままもう一回してもいいか?」
『な…っ!!だめ!!だめだよ!仕事ある!』
「…冗談だよ。そんな否定されると傷つくな…。
昨日はあんなに僕を求めてくれたのに。」
『〜っ!!零くんのバカ!!』
私をからかう零くんにムカついて
顔に枕を押し付けてやったのに
彼はずっと楽しそうにニコニコしていた。
「ははっ、本当に美緒は可愛いな。
お前が愛おしくて仕方ないよ。」
……朝から零くんは甘い言葉を囁いてくるから
わたしの怒りはすでにどこかに行ってしまった。
『零くん…、好き。』
「…誘ってるのか?」
『もう!違うから!』
「残念だけど我慢する……。
ほら。先にシャワー浴びてこい。
朝ご飯にルームサービス頼んでおくから。」
『うん…ありがとう。』
零くんは私の口にチュッと一度だけキスをしてくれて
朝からとても幸せな気分になった。
秀一くんからこんなご褒美がもらえるなら
たまにはFBIの仕事に協力するのも悪くないな…。
私はそんなことを思いながらシャワーを浴びて
2人で朝ごはんを食べてから仕事場に送ってもらい
その日は一日、幸せな気分のまま仕事をこなすことができた。