第51章 副手
昴さんの車に乗せられて、
どこに行くかも告げられないまま道路を走っていた。
『ねぇ、仕事ってなに…!?
私FBIの協力者になった覚えはないんだけど!?』
「後でちゃんと説明するからもう少し待て。
…ほら、着いたぞ。」
着いたぞって……、工藤邸じゃない!!
なんでこの人はこんなに強引なんだろう…。
大人しく車を降りて工藤邸に入ると金髪の女性が私達を出迎えた。
「彼女はジョディ。俺と同じFBIの捜査官だ。」
『…どうも。若山 美緒です…。』
「秀からあなたの話は聞いてるわ。
とりあえず時間がないからこっちにきてもらえる?」
ジョディさんについていき工藤邸の一室に入ると
そこにはたくさんのドレスが並べられていた。
ジ「うーん…。あなたはスタイルいいから
こんな感じのドレスがいいかしら。」
彼女が手に取ったのは黒のロングイブニングドレス。
もちろん私はそんなドレス着たことない。
何が何だか分からないのに、言われるがまま着替えをさせられた私。
高そうな服なだけあって着心地はとてもいいんだけど…
そのドレスは背中が少しだけ開いており、丈は足首くらいまであって
胸元は谷間が見えそうで見えないくらいのVネックになっているので体がスースーする。
ジ「うん!やっぱり似合うわね!!
靴とバックはこれにして……最後にメイクをしましょう。」
ドレッサーの前に座らされて、かなりの厚化粧とヘアアレンジをさせられた。
しかも化粧品は全部ブランド品……。
私は一体なんの仕事をさせられるんだろう……。
ジ「…よし、完成よ!秀のところに戻りましょ?」
秀一くんが待っているリビングに戻ると
彼はソファーに腰掛けていたけど、私と同じように正装をしていた。
顔は昴さんのままだけどね。
ジ「秀、お待たせ。こんな感じでいいかしら?」
「ああ、上出来だ。
美緒…そのドレスすごく似合ってる。」
『そんなこと言わなくてもいいから!
それよりこんな格好させた理由を早く教えてよ!!』
「分かってる。ちゃんと説明するから怒るな。」
…怒りたくもなるわ!
いきなり誘拐されてこんな派手な格好させられて
全っ然意味がわからないんだもん!!