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《降谷夢》bonheur {R15}

第50章 金槌


side 松田


眼鏡のボウズに提案されて部屋の中を調べることにした俺達。


あいつほんとガキのくせに
いつも面白いことに気づくから、
俺や班長は情けないことに毎回事件の度に割と当てにしちまってるだよな…。



そしてそのボウズに付き合って、
一緒に部屋の中を調べてくれることになった美緒。
あいつも頭切れるし、目暮警部もそれを分かっているから
美緒が手伝うと言って来た時、簡単に許していた。


…本当はダメなんだろうけどな。



『松田くーん、ちょっといい?』

「どうした?なんかあったのか?」


美緒の声が聞こえた方を向くと、
あいつはトイレと風呂場を調べているようだったので
俺はそこに向かった。


『ほら、ダイニングの方は結構散らかってるのに
お風呂とトイレだけすごくピカピカじゃない?』

「確かに……綺麗すぎるな。
綺麗好きの奴なら、普通は家中片付いてるはずだし…。」


『それと洗面台のところ。
歯磨き粉はちゃんとあるのに、歯ブラシはないでしょ?
あと…電気カミソリがしまってあったんだけど
随分長いこと使った形跡がないの。
でもあのハンマー男、運ばれる時にチラッと見たけど結構髭が濃い人だったよね?』


…こいつ……

本当に警察辞めたのか不思議に思うくらい色んなことに気付きやがるな…。



『あ、あともう一つ。
この排水溝見て。髪の毛とか何も引っかかってないよ。』

「…ああ、ほんとだ、な………っ…。」


美緒に言われて排水溝を一緒にのぞいていたら
思いの外美緒の顔が近くて驚いた。


こんな至近距離でこいつの顔を見るのは、
美緒が泣き疲れて寝ちまったあの夜以来で………


寝てる美緒にキスしたことを思い出して
顔に熱がこもるような感じがした。



『…松田くん?どうしたの?
なんか顔赤いみたいだけど……。』

声をかけられてパッと離れたが
それを美緒はかなり不審がっているようだった。


「っ、いや……。なんでもねぇよ…。」

『?そう?
じゃあ私、他の部屋も見てくるね。』



そう言って美緒は立ち上がり浴室から出て行き…

俺はそのまま浴槽の淵に手を置きため息をついた。




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