第47章 喧嘩
翌日ーーー
今日は午前中だけ警護の仕事をし、
予定より早めに終わったので今は事務所でデスクワークをしているところだ。
葉「……おい…若山…
お前なんかすごくおっかねぇ顔してるけど
何かあったのか…?」
『…別に、何もない。』
葉「あ…そうですか……。」
わたしがイライラしてるのを雰囲気で察したのか
葉山はそれ以上、何も聞いてこなかった。
ただ私はいつもより
無意識にパソコンのキーボードを強く叩いていたみたいで
梢さんも社長も、わたしが不機嫌なことにすぐ気付いた様だった。
そしてそのまま私と零くんの冷戦状態は続き
1週間の時が流れた。
この1週間、電話やメールは全くしていない…。
そんなことは付き合ってから初めてだった。
さすがに1週間も経つとイライラは治ったけど…
ふとした時に
零くんに言われたことを思い出すとやっぱりまたムカついてきてしまい、
私から連絡することはなかった。
そして今日は午後休をもらっていて
仕事を終え、帰宅途中で買い物をする為にスーパーに寄ったら
偶然、昴さんに変装した秀一くんと出会した。
「あれ?美緒さんじゃないですか。
偶然ですね。」
『…なんでここのスーパーにいるんですか。
家から少し離れてますよね?』
「今日はここのお肉が安売りしてたので買いに来たんです。
美緒さんはお仕事帰りですか?」
『ええ、まぁそうです。』
とても誰かと話す気分になれなかったので
私は適当に返事をしていた。
「…随分機嫌が悪いようですね。
まさかポアロの店員の彼と喧嘩でもしました?」
……ええ、そうですよ、しましたよ喧嘩!
あなたのせいでね!!
私が心の中でそう思いながら彼を睨んでいると
困ったように笑っていた。