第42章 居候
「そんなの言われるまでもない。
…それより松田、記憶が無いとはいえ美緒は僕の彼女だ。
気安く触るんじゃない。」
松「はぁ?別にあれくらいいいだろ。」
「だめだ。」
松「…今は、お前の彼女じゃねぇんだろ?
ただの友人にそんな嫉妬されたら、美緒に引かれるんじゃね?」
「…。」
萩「おいおい陣平ちゃん。
あんまりこいつのこと煽るなって…。」
松「俺は本当のことしか言ってねーよ。」
「…。」
松田のその言葉にムカついた僕は
手に持っていたお盆で再び松田の頭を叩いた。
松「っ!?いっ…てぇ…!!
お前それ痛ぇからやめろよ!!」
「当然だ。痛くなるように力入れてるからな。」
松「…てめぇ……喧嘩売ってんのか!?」
「先に売ってきたのは君だろ。」
松「ああ!?」
僕達がいがみ合っていると
席に座っていた瑞希が机を叩いて立ち上がり怒鳴ってきた。
瑞「あんた達、本っ当にうるさい!!
喧嘩なら外でやれ馬鹿!!」
「「……。」」
先程まで泣いていたはずの瑞希はもうすっかり立ち直っていて
やはり母になると強くなるのだなと感じた…。
そのまま彼らは仕事があるそうで帰っていき
僕は美緒の様子を見に探偵事務所へ行った。
子供達と楽しそうに会話をしている美緒は
記憶を無くす前と同じような笑顔で、可愛くて……
僕はこの笑顔を失わないように
必ず守り抜いてみせると、心の中で誓った。