第41章 友情
『安室さん…?
昴さんとはお知り合いだったんですか?』
「…ええ、まぁ。
少し顔を合わせたことがある程度ですけどね。」
…本当かな?
とてもそんな風には見えなかったけど。
「でもあの人は、あなたに好意を抱いているようですので
注意しておいた方がいいですよ。
もし見かけたら逃げて下さい。」
真剣な顔でそんな事を言ってきた安室さんがおかしくて
私は笑ってしまった。
『ふふっ。はい、分かりました!
走って逃げますね!』
私が笑いながらそう言うと、
安室さんは少し驚いた顔をしたけど
その後すぐ嬉しそうに笑っていた。
「……やはり美緒さんは
笑っている顔が1番似合ってます。」
安室さんはとても優しい眼差しで私を見つめてきたので
朝と同じように、胸が高鳴った。
…なんでこんなにドキドキするんだろう…。
私は安室さんと友人関係だったと聞いたし、
私達の間には、友情しかなかったはずだよね…?
でも…彼の目を見ていると
ただの友人ではなかったような気がするんだ。
何の根拠も無いんだけどね…。
「…美緒さん?どうかしましたか?」
『っ、いえ!なんでもないです!
ちょっとぼーっとしちゃってました。』
「そうですか?
何かあったらいつでも言って下さいね。」
…本当に安室さんって優しい人だなぁ。
わたしの些細な変化にもすぐ気づいてくれるし…
安室さんとはそのまま
面会時間が終わるギリギリまで楽しく話をした。
彼が帰る時にはなんだか少し寂しい気持ちになってしまい
それが顔に出ていたのか、安室さんに優しく頭を撫でられた。
「そんな顔しないで下さい。帰り辛いじゃないですか。」
『っ!?…そ、そうですよね!
ごめんなさい!!』
慌てながら謝罪すると
安室さんはまた明日も来ます、と言って病室から出て行った。
…また明日も来てくれるんだ。
明日も安室さんに会える事を嬉しく思い
その日の夜は幸せな気分のまま眠りについた。