第41章 友情
朝目が覚めて私はベットから起き上がった。
昨日、病院の先生から記憶喪失だと診断されて
朝になったら全部思い出しているかもと思ったけど
やはり、何も思い出せないままだった。
頭の中に靄がかかったような感覚で
私の気分は朝から沈んでいた。
コンコン
1人で落ち込んでいると病室の扉を叩かれてる音がして
返事をすると扉が開き、1人の男性が中に入って来た。
「美緒さん、おはようございます。
よく眠れましたか?」
『あ…はい。えっと……安室さん、でしたよね?』
「そうです。気分はどうですか?」
『大丈夫です、って言いたいところですけど
やっぱり何も思い出せなくて…。
だめですよね、私。色んな人を悲しませちゃってる…。』
私がそう言うと、安室さんは俯いていた私の頭を撫でて来た。
「あなたは何も悪くないですよ。
記憶があってもなくても、
美緒さんであることに変わりありません。
だからそんな悲しい顔をしないでください。」
安室さんの手は暖かくて優しくて……。
ずっと撫でられていたくなるような心地のいいものだった。
『ありがとう…ございます…。
あの、安室さんにお願いがあるんですけど…。』
「なんでも言ってください。
僕でよければ、力になりますから。」
『安室さん、私とは友人だったんですよね…?
記憶を失う前の私のこと、分かる範囲でいいので教えて欲しいんです。』
「分かりました。お話しします。」