第38章 悋気
零くんと2人で私のアパートに帰ってきて
鍵を開け部屋の中に入ったところで、
私はまず、ずぶ濡れの零くんにシャワーを勧めた。
『着替え持って行くから、シャワー使って?
そのままだと風邪引いちゃうよ。』
「ああ。…ありがとう。」
お風呂場に向かう零くんを見送ってから
私も少し雨で服が濡れたので、ルームウェアに着替えた。
お茶を飲んでいる時に
警視庁に置きっぱなしになっている愛車のことをふと思い出したので、
松田くんに車は明日取りに行くとメールをしていると
零くんがお風呂場から出てきて、リビングに入ってきた。
「シャワーありがとな。」
『ううん。…あ、なんか飲む?お茶くらいしかないけど…。』
零くんの横を通り過ぎてキッチンに向かおうとすると
腕を掴んで止められて、そのまま抱きしめられた。
『……零くん?』
「お茶はいいから…話を聞いて欲しい。」
『…うん。分かった。』
零くんは私を離すと、そのまま手を繋いで一緒にソファーに座った。